平成25年9月発行
 
  第142号
 
 
消 毒 副 生 成 物

消毒副生成物とは、塩素消毒等を行なった際に、塩素等が水中の有機物と反応することで生成される物質の総称を言います(表1)。人体に悪影響を及ぼすと言われており、水道法や建築物衛生法によって検査が義務付けられています。今回は消毒副生成物の分析を行うの際の固定操作についてご紹介いたします。

消毒副生成物の生成量は水中の有機物量、水温、時間、塩素注入量等に大きく影響されます。そのため、採水の際には固定を行なう必要があります。
ビックリマーク 固定とは・・・
採水した水に対して、決められた量の適切な試薬を添加して、物質の揮発や化学反応を抑制する操作を言います。採水時に固定を速やかに行なうことが、正確な分析データを提供するために必要不可欠となります。
表 1 消毒副生成物(12種類)およびその基準値
項目名 基準値
シアン化物イオンおよび塩化シアン 0.01mg/l 以下
塩素酸 0.6mg/l 以下
クロロ酢酸 0.02mg/l 以下
ジクロロ酢酸 0.04mg/l 以下
トリクロロ酢酸 0.2mg/l 以下
ホルムアルデヒド 0.08mg/l 以下
クロロホルム 0.06mg/l 以下
ブロモジクロロメタン 0.03mg/l 以下
ジブロモクロロメタン 0.1mg/l 以下
ブロモホルム 0.03mg/l 以下
総トリハロメタン 0.1mg/l 以下
臭素酸 0.01mg/l 以下
表2 固定を必要とする分析項目について(一部)
分析項目 固定試薬 固定理由
シアン化物イオンおよび塩化シアン リン酸緩衝液 pH4に調整→塩化シアンの生成を防ぐ
塩素酸 エチレンジアミン溶液 残留塩素除去※
VOC
(総トリハロメタン)
アスコルビン酸ナトリウム 残留塩素除去※
塩酸(1+10) pH2に調整→総トリハロメタンの生成を防ぐ
ハロ酢酸類 アスコルビン酸ナトリウム 残留塩素除去※
ホルムアルデヒド チオ硫酸ナトリウム 残留塩素除去※
※残留塩素除去→生成物のもととなる次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウムを除去する

今回ご紹介しました消毒副生成物の他にも、固定を必要とする分析項目が多くあります。
弊社では、採水後の固定、温度管理を確実に行ない、水質が変化してしまうことを未然に防いでおります。
今後もお客様に正確な分析結果をお届けできるように努めて参ります。
株式会社 東洋環境分析センター 株式会社 東洋環境分析センター