平成26年1月発行
 
  第147号
 
 
魚介類加工品の製造工程について

魚介類の皮膚には多数の細菌が付着しており、低温でも増殖する細菌が多いことから、畜産物に比べて腐敗しやすいという特徴があります。そのため、昔から漁獲された魚介類をいかにして腐敗を防止するかが重要な問題であり、干物や塩蔵品などの加工品が考え出され発達してきました。しかしながら、それらは冷蔵保存が主流であり、製品の衛生的な製造 ・ 取扱いがより重要視されます。

今回は例として「しらす干し」の製造工程における問題点と危害を分析し、煮沸から包装までの工程における「しらす干し」の微生物増減を調査してみました。

<製造工程における微生物学的問題点と危害>  
製造工程 おもな問題点 危害
1 原魚(生) 入荷
2 洗浄
3 煮沸
4 乾燥 乾燥条件(温度:37〜38℃)
ラインの汚染(乾燥機ベルト)
細菌増殖
ラインからの二次汚染
5 選別 室温上昇
ラインの汚染
(エアー吹き出し口、選別ラインベルト)
細菌増殖
ラインからの二次汚染
6 冷却 室温上昇
ラインの汚染(冷却ベルト、落下細菌等)
細菌増殖
ラインからの二次汚染
7 包装 室温上昇
ラインの汚染(手指、落下細菌等)
細菌増殖
ラインからの二次汚染
8 金属探知機検査 室温上昇 細菌の増殖
9 冷凍

<煮沸〜包装工程における微生物試験結果>


微生物試験結果から考察
 
工程 :
「煮沸」
生菌数は検出されないレベルにまで減少。
工程 :
「乾燥」,「選別〜包装」
ラインからの二次汚染,室内の温度管理不備による細菌の増殖等の可能性
   

下矢印

 
煮沸後の工程において細菌をつけない、ふやさないためにラインの洗浄 ・ 消毒が重要

工程毎の微生物検査を実施することにより、微生物の挙動を把握することが可能となります。
その結果、製造工程における問題点が見つかり、衛生学的な重要管理点を決定することができます。

「食」 の安心 ・ 安全の確保は、消費者皆様からの信頼を得るための一役を担うこととなります。
衛生管理を行うことは品質の担保になるだけでなく、製品品質を更に向上することに役立てることが可能です。
弊社では、製品検査や保存試験以外にもこのような衛生検査も実施しており、食品衛生に関するお手伝いを総合的に行っております。どうぞお気軽にご相談ください。

株式会社 東洋環境分析センター 株式会社 東洋環境分析センター