平成26年11月発行
 
  第159号
 
〜 排水等の適切な処理について 〜
 水質汚濁防止法においては,『工場及び事業場から河川,湖沼,海域等の公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透』を規制しています。ご承知の通り、多くの工場及び事業場においては,汚水等を処理するための排水処理施設を設け,基準に適合した排水を放流しなければなりません。
 しかしながら,排水処理が適切に行われていないと,基準を超過する場合や処理設備に損傷を与える場合が考えられます。
 今回,一般的な排水処理の工程を紹介すると共に,適切な処理を行う上で管理すべき項目についてご紹介させて頂きます。
1. 一般的な排水処理の工程
(1)流入水 (2)スクリーン (3)凝集分離 (4)曝気槽 (5)最終沈殿池 (6)滅菌槽 放流
                   
            (7)余剰汚泥 (8)汚泥処理  

処理工程 処理の概要
(1) 流入水 流入水の水質・水量から,処理計画(処理流量・処理時間)を立てます。
(2) スクリーン 動植物性残渣や比較的大きな固形物を除きます。
(3) 凝集分離 硫酸アルミニウム等の凝集剤を用い,懸濁物を除きます。pH調整が重要です。
(4) 曝気槽 活性汚泥を用い,排水中の有機物(BOD等)を除きます。
(5) 最終沈殿池 活性汚泥と上澄み水に沈降分離させます。上澄み水のみが滅菌槽に流入します。
(6) 滅菌槽 滅菌剤を用いて滅菌処理した後,公共用水域へ放流します。
(7) 余剰汚泥 沈降分離させた活性汚泥は一部を曝気槽に返送し,余剰分は処理します。
(8) 汚泥処理 高分子凝集剤等で凝集させ,脱水した後,脱水ケーキとして排出します。
2. 排水処理工程における管理項目
処理工程 処理の概要 処理工程 処理の概要
(1) pH フロックの形成,活性汚泥の働きに影響 (1) NO3-N 亜硝酸の酸化により生成
(2) SS 水中の懸濁物質の指標 (2) T-N 様々な形態の窒素化合物の合計量
(3) BOD 水質の指標(生物分解性の有機物) (3) T-P 様々な形態のりん化合物の総量
(4) COD 水質の指標(無機物と有機物) (4) 大腸菌群数 人畜の糞便等による汚染の有無
(5) 塩化物イオン 生活排水,し尿汚染の指標 (5) 透視度 処理水の澄明の程度
(6) NH4-N 有機性窒素の一部が遊離して生成 (6) MLSS 微生物量の指標
(7) NO2-N アンモニアの酸化により生成 (7) MLVSS 微生物量の指標,MLSSの強熱減量
 排水処理においては,流入水や各処理工程の水質を的確に把握し,適切な処理条件で運転管理することが重要となります。基準超過で対策が必要な場合や各処理工程でお困りの部分が御座いましたら,水質分析等でお役に立てる部分があるかと思いますので,お気軽に弊社までご相談下さい。
株式会社 東洋環境分析センター 株式会社 東洋環境分析センター