平成19年11月発行
 
  第67号
 


塩素酸にかかる水質基準等の設定について


 水道法第4条第2項の規定に基づいて定められている水質基準は、昭和33年に制定されて以来、清浄な水の供給を目的として逐次改正されてきました。この度、平成19年10月26日に開催された第6回厚生科学審議会生活環境水道部会にて、塩素酸が水質基準に追加されることが決定しましたのでご紹介致します。

塩素酸とは
塩素酸( HClO3 )とは、塩素原子( Cl )に酸素原子( O )2つとヒドロキシル基( -OH )が結合した構造をしている化合物で、その水溶液は強酸を示します。また、塩素酸ナトリウム( NaClO3 )や塩素酸カリウム( KClO3 )などの塩素酸塩は、火薬(花火、マッチなど)や爆弾の原料、漂白剤、金属表面処理剤、および除草剤などに用いられます。

水質基準設定に至るまでの経緯
   【水道統計】
 これまで、水道水中の塩素酸が人に影響を及ぼすと想定されるのは、基本的に二酸化塩素が水道水の浄水処理に使用された場合とされていました。しかし、消毒に用いられる次亜塩素酸を長期間貯蔵すると、その酸化により塩素酸濃度が上昇することがあり、特に高温下で貯蔵した場合に、より顕著に塩素酸濃度が上昇することが近年明らかになりました。
 また、現在の水質管理目標設定項目では塩素酸の目標値が 0.6mg/L 以下に設定されていますが、水道統計のデータによると、浄水においておよそ4分の3の地点で目標値の10%( 0.06mg/L )を超える値が検出されています。(右グラフ参照)
 以上のことから、水道法第4条第2項の規定に基づく水質基準への追加が検討されてきました。

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※ 右グラフは、第5回厚生科学審議会生活環境水道部会 水質管理専門委員会資料 「資料5」より抜粋

塩素酸に係る水質基準(予定)

第6回厚生科学審議会生活環境水道部会において、水質基準に関する省令の一部を改正し、水質基準項目に塩素酸を加えることが今後の予定として決定されました。


尚これに伴い、水道施設の技術的基準を定める省令の一部も改正され、薬品基準の値も「 0.6mg/L 以下」
から「 0.4mg/L以下」に引き下げられます(平成20年4月施行)。
  但し経過措置として、平成23年3月31日までの間は「 0.5mg/L 以下」となります。

当委員会では、これからも法改正などの最新情報をお客様にご提供して参ります。何かご不明な点がございましたら担当営業までお問い合わせください。
(by.Chika)

株式会社 東洋環境分析センター
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