平成20年11月発行
 
  第80号
 

厚生労働省による水質基準等の見直しについて

 水道法の水質基準については、平成15年より厚生労働省の水道水質基準逐次改正検討会により見直しが行われています。平成18年8月以降、同検討会において、厚生労働科学研究による研究成果や内閣府における食品安全委員会の健康影響評価等の知見に基づき検討が進められ、新たな見直しの方向性が整理されましたのでご案内致します。
 水道法における水質基準は、以下のような体系で構成されています。
a) 水質基準
 浄水から評価値※1の10分の1を超えて検出されるものなど(51項目)
b) 水質管理目標設定項目
 評価値※1が暫定のもの、もしくは、検出レベルが高くないもののうち水質管理上注意 喚起するべき項目(全27項目:農薬類102物質1項目を含む)
c) 要検討項目
 毒性評価が定まらない、もしくは、浄水中存在量が不明な項目など
(全40項目)
※1 評価値とは、食物・空気等他の暴露源からの寄与を考慮しつつ、生涯にわたる連続的な摂取を
  しても人の健康に影響が生じない水準を基に設定された値のことをいいます

水質基準に係る見直し

(1)TOC(全有機炭素)
 基準値を「5mg/l以下」から「3mg/l以下」に強化されることが検討されています。
(2)1,1‐ジクロロエチレン
 水質基準項目から水質管理目標設定項目への変更が検討されています。
(3)シス‐1,2‐ジクロロエチレン
 現在はシス体のみに水質基準が設定されていますが、シス体とトランス体の合算で基準を設けることが検討されています。

水質管理目標設定項目に係る見直し

(1)アルミニウム
 水質基準とは別に水質管理目標設定項目にアルミニウムを追加し、目標値を0.1mg/lとすることで、浄水処理の工程管理の向上を目指すことが検討されています。
(2)その他
 内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果を基に、以下の3項目(4物質)についても目標値の変更が検討されています。
項目
ジクロロアセトニトリル
抱水クロラール
農薬類 クロルピリホス
EPN
目標値
変更前 変更後
0.04mg/l以下 0.01mg/l以下
0.03mg/l以下 0.02mg/l以下
0.03mg/l以下 0.003mg/l以下
0.006mg/l以下 0.004mg/l以下

ご不明な点等ございましたら、営業担当者までお問い合わせください。
by Chika
株式会社 東洋環境分析センター 株式会社 東洋環境分析センター