平成20年6月19日に東京都渋谷区の温泉施設で起きた爆発事故を受け、平成21年3月までに温泉中のメタンガス測定を行う事が義務付けられたことは、月刊東洋第78号でもご紹介させて頂きました。「メタン」は目には見えませんが、爆発性があるなど危険性が高い気体です。今回の月刊東洋では、メタン同様に、目には見えないけれど危険性の高い気体を発生する有機溶剤についてご紹介するとともに、特殊検診である有機溶剤健康診断についてお知らせします。有機溶剤を使用されるお客様はご一読ください。
【有機溶剤とは?】
アルコールやエーテル、シンナー、ベンジン等のように燃料や塗装、接着剤、石油化学製品等の原料、脱脂剤として用いられている、有機化合物の液体全般のことを言います。 工業的に使用されているものだけでも500種類以上あります。 また、有機溶剤のうち54種類の物質(表1参照)については人体に有害な事が明らかになっています(単にめまいや吐き気に収まらず、皮膚、腎臓、肝臓、肺、眼、気道障害等)。これらを5%以上含むものを使用したり、製造している場合には、その溶剤別に出やすい健康障害に合わせた検査項目の特殊検診を半年に一度実施することが法律(有機溶剤中毒予防規則)で義務付けられています。
【特殊検診のあとは?】
事業者の責任で、個人ごとの結果を5年間保存し、事業所全体の結果を「有機溶剤健康診断結果報告書」に転記して、労働基準監督署長に報告することとされています。有機溶剤健康診断個人票を作成し、これを5年間、事業者の責任で保存することとなっています。(退職した場合も保存となっています。) 【特殊検診で異常が出たら?】
特殊検診で異常が見つかったからと言って、全ての原因が業務にあるとは限りません。日常の体調や作業と無関係の疾患が原因の場合もあります。ただ、有機溶剤で悪化する可能性が無いとも言えません。 また、作業の環境が原因ならば、同じ作業をしている方にも近々同じ症状が出てくる可能性もあります。 そこで、作業の状況(作業環境測定の結果、現場の換気、保護具や局所排気の使い方、作業の時間や頻度)を再確認する必要があります。 種類だけ御紹介致しますと、有機溶剤健康診断だけでなく、特定化学物質健康診断や特定業務従事者健康診断、石綿健康診断、鉛健康診断、じん肺健康診断等もあります。
「健康は失くして初めてその大切さに気が付く」という言葉もあります。環境にも健康にも注意いたしましょう。尚、弊社においても作業環境測定(作業環境測定機関 宮崎労働局第45-7号、 鹿児島労働局第46-7号)を行っており、グループ関連機関で健康診断業務を行っております。 by MATSU |
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