平成21年1月発行
 
  第82号
 

JIS K 0102(工場排水試験方法)の改正

 JIS K 0102(工場排水試験方法)が、平成20年3月20日付けで改正されました。この改正を受け、同4月1日に水質汚濁防止法におけるほう素、ふっ素、及び浮遊物質量の分析方法が改正、同5月9日には環境基本法(土壌の汚染に係る環境基準について(環境庁告示第46号))におけるセレン、ふっ素、ほう素の分析方法が改正、同じく同5月9日に土壌対策基本法におけるセレン、ひ素、ふっ素、ほう素の分析方法の改正となっております。今回は、環境関連の多くの公定法に採用されているJIS K 0102の改正の内容についてご紹介します。

【主な改正内容】
(1)ICP質量分析法(高周波プラズマ質量分析法)における対象項目の追加
項番号 対象項目 改正の内容
52.5 銅、亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、コバルト、ひ素、ビスマス、クロム、セレン、バナジウムの同時定量法をこの項に記載。銅以外の金属ではこの項を引用するようにした。スペクトル干渉の例を表に示した。
58.5 アルミニウム 52.5参照 63.4 すず 62.4参照
59.4 ニッケル 52.5参照 64.3 ビスマス 52.5参照
60.4 コバルト 52.5参照 67.4 セレン 52.5参照
61.4 ひ素 52.5参照 68.3 モリブデン 62.4参照
62.4 アンチモン アンチモン、すず、モリブデン及びタングステンの同時定量をこの項に記載。 69.3 タングステン 62.4参照
70.5 バナジウム 52.5参照

(2)イオンクロマトグラフ法の対象項目の追加
項番号 対象項目 改正の内容
34.3 ふっ素化合物 ふっ化物イオンに適用。試料採取後、保存せず、直ちに試験する。清澄な試料に適用する。JIS K 0400-35-30に合わせ、ろ過後操作する。懸濁物、妨害物を多く含むときは蒸留後に適用する。
35.3 塩化物イオン 臭化物イオン、塩化物イオン、ふっ化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、りん酸イオン及び硫酸イオンのイオンクロマトグラフ法をこの項にまとめて記載。このうち、ふっ化物イオン及びりん酸イオン新規
48.3 ナトリウム 旧規格でアンモニウム、ナトリウム及びカリウムに規定している陽イオンのイオンクロマトグラフ法にカルシウム及びマグネシウム追加し、この項にまとめて記載。溶離液条件、妨害物質及び対策などはISO 14911:1998を参照して示した。
37.2 臭化物イオン 35.3参照 43.2 硝酸イオン 35.3参照
41.3 硫酸イオン 35.3参照 46.1.3 りん酸イオン 35.3参照
42.5 アンモニウム
イオン
48.3参照 49 カリウム 48.3参照
43.1.2 亜硝酸イオン 35.3参照      

(3) ICP発光分光分析法(誘導結合プラズマ発光分光分析法)における同時定量を主文に変更
(4) 水素化物発生原子吸光法における連続式水素化物発生法を中心にした操作の変更
資料: 環境と測定技術 Vol.35 No.10 2008

 今回の改正は、平成10年以降、水質試験方法のISO翻訳規格として80規格(JIS K 0400シリーズ)が制定されてきましたが、これらの試験方法の原理は、JIS K 0102の当該試験項目の原理と同じものが殆どであるため、両者の整合が望まれてきました。これを受け、「用水・排水試験方法の国際規格との一体化に関する標準化調査委員会(委員長 並木博 横浜国立大学名誉教授)」において調査・検討を行った結果、今回の大幅な改正となりました。
 
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by K.N
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