平成21年7月発行
 
  第89号
 

作業環境評価基準の一部改正について
〜管理濃度が変わります!〜

 労働安全衛生法第65条の規定に基づいた、作業環境測定における作業環境評価基準 (昭和63年労働省告示第79号)の一部が改正されました。(平成21年3月31日 厚生労働省告示第195号)
 今回の改正は、作業環境測定の対象となる化学物質について、厚生労働省労働基準局において開催された管理濃度検討会において、疫学調査などに基づく近年の化学物質等の人体への影響について医学的知見の最新の状況を踏まえて見直し等の検討を行い、その結果が取りまとめられたことによるものです。
 作業環境測定基準において、ニッケル化合物、砒素及びその化合物の2物質を、『作業環境測定の対象としてばく露防止対策を講じるべき物質』として新たに管理濃度を設定するとともに、既に測定やばく露防止対策の対象となっている粉じん、トルエン等の11物質についても、管理濃度を低減することとなりました。
 1.管理濃度の設定及び改正
  ● 管理濃度の新旧対照表
No. 対象物質 管理濃度 (旧) 管理濃度 (新)
1 ニッケル化合物  (注 1)
(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)
  ニッケルとして
0.1mg/m3
2 砒素及びその化合物  (注 1、2)
(アルシン及び砒化ガリウムを除く。)
  砒素として
0.003mg/m3
3 クロロホルム 10ppm 3ppm
4 シクロヘキサノン 25ppm 20ppm
5 テトラヒドロフラン 200ppm 50ppm
6 トリクロロエチレン 25ppm 10ppm
7 トルエン 50ppm 20ppm
8 二硫化炭素 10ppm 1ppm
9 アクリルアミド 0.3mg/m3 0.1mg/m3
10 塩素化ビフェニル(別名PCB) 0.1mg/m3 0.01mg/m3
11 臭化メチル 5ppm 1ppm
12 弗化水素 2ppm 0.5ppm
13 粉じん  (注 3)
(土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じん)
(単位:mg/m3 (単位:mg/m3
Q 当該粉じんの遊離けい酸
含有率 (単位パーセント)
Q 当該粉じんの遊離けい酸
含有率 (単位パーセント)
   (注 1) ニッケル化合物、砒素及びその化合物は、新たに管理濃度が設定された物質です。
   (注 2) 砒素及びその化合物への統合に伴い、三酸化砒素の管理濃度は廃止されました。
   (注 3) 粉じんの管理濃度は、遊離けい酸 (結晶質シリカ) による発がん性等のリスクを抑えることを目的として引き下げられました。
(厚生労働省HPより抜粋 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei30/index.html)
 2.適用の時期
   今回の改正告示は、平成21年7月1日より適用されます。
   (ただし、ニッケル化合物、砒素及びその化合物に係る関連告示については、平成21年4月1日から適用されています。)
 昨年のホルムアルデヒドに続き、作業環境測定に関係する法律が次々に改正となっております。
特に粉じんは遊離けい酸含有率によっては、管理濃度が厳しくなりますので注意が必要です。
  上記内容に関するご意見、ご質問等がございましたら、営業担当者までお問い合わせください。
by K.N
株式会社 東洋環境分析センター 株式会社 東洋環境分析センター