平成21年10月発行
 
  第92号
 


 @土壌汚染対策法の歴史
  壌汚染対策法は、「土壌汚染状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止」を目的とし、平成15年(2003
  年)2月15日に法律第53号が施行されました。
  「土壌汚染の状況の把握に関する措置およびその汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めること
   等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護する。(法第1条)」が基本理念となっています。

今回の月刊東洋は、適用される対象地および対象物質と現在の法改正の動きについてご紹介します。

 A土壌汚染対策法の内容
 ・(適用される対象地)
  法は、全ての土地に対する土壌汚染の対策を対象としているのではありません。以下の2種類の土地のみ
  適用されます。
  1、使用が廃止された、有害物質使用特定施設に係る、工場又は事業場(法第3条)
   ・水質汚濁防止法第2条第2項で規定する特定施設であって、特定有害物質をその施設において、製造し、
    使用し、又は処理するもの。

  2、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれのあると、都道府県等が認める土地(法第4条)
   ・地下水汚染が発見され、その周辺で地下水を飲用等に利用し、その汚染原因が土壌汚染の蓋然性の高い
    土地によって生じていることが確実な場合。
   ・土壌汚染の蓋然性の高い土地が、一般の人が立ち入ることのできる状態となっている場合。
 ・(適用される対象物質)
  本法に定める特定有害物質(法第2条第1項)において、「それが土壌に含まれていることに起因して人の健康
  に係る被害を生じるおそれがあるもの」としています。以下の通り、大きく2つに分けられています。
  1、(地下水等の摂取によるリスクの観点)・・・地下水等の摂取の観点から定められた土壌の汚染に係る
   環境基準における溶出基準項目を対象物質とする。

  2、(直接摂取によるリスクの観点)・・・人が直接摂取する可能性のある表層土壌中に高濃度の状態で 蓄積し
  得ると考えられる重金属等。

  現在では、特定有害物質第1種から第3種まであります。ここでのリスクとは「土壌汚染の環境リスク」を指して
  います。
 B現在の法改正の動き 環境省HPより抜粋  http://www.env.go.jp/water/dojo/law.html#top
  月、環境省の中央環境審議会はこのほど、土壌汚染対策法の改正に伴う政省令改正案を環境大臣に答
  申しました。平成22年4月1日までに同法を施行する予定です。内容として、「試料採取等の省略」については、
  「調査実施者は試料採取などを行わないことができる」とした上で、省略する場合、「調査対象地の区域を、
  全特定有害物質の種類について土壌含有量及び第2溶出量基準に適合しない汚染状態にある土地とみなす。」
  などと規定するものです。
  他にも改正案はありますが、このように環境のめまぐるしい変化に伴い、典型七公害のうち、土壌汚染だけは
  法規制がないということもあり、現在、急速に法改正が行われています。新しい情報を常に取得し、これからの
  土壌汚染対策法を注視していく必要があります。
 上記内容に関するご意見、ご質問等がございましたら、営業担当者までお問い合わせください。
by Kuro
株式会社 東洋環境分析センター 株式会社 東洋環境分析センター